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4月1日のこと [留学]

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4月1日は友人に誘われ、寮の近くにある小劇場で行われた舞台を観てきました。
その頃は<様々な国の大学演劇を知る>というような趣旨の
「19emes Rencontres Internationales du Theatre Universitaire」をやっていました。
(和訳すれば「19回目 大学演劇の国際交流」…でいいのかな?)
この日は日本(!)とルーマニアの演劇デーでした。mini-CIMG1652.jpg

日本からは桜美林大学の演劇サークルのパフォーマンスとのことでしたが、
確認してみると「柿喰う客」というきちんとした劇団だったようです。
(桜美林大の演劇サークルが発展したものだと見なしていますが、実際は知りません。)

今回ブザンソンで上演したのは「The Heavy User」というものでした。
(フランスの皆さんが写真をお撮りになるので(笑)私も始まる直前にパシャと撮らせてもらいました。)

ここの劇団のコンセプトはとりあえず動きで全てを表現することのようです。
音楽や台詞の発せられる口はただのマシーンでしかない。
そして、演出家(脚本)の意図は表現者に知らされない。…「うむ、新しい!」と思いました。
こういう形式の舞台は以前から日本でもあったでしょうけれども、私の引き出しにはなかったです。
ですから、このような表現方法が日本でもあるんだなあという驚きでいっぱいでしたね。
私の大好きな服部有吉さんのある舞台で「見たままをそのまま感じてほしい」というコメントがありました。
その言葉を思い出して観たのがこの舞台でしたね…なんだか久しぶりの感覚だなあと思いながら。
勿論伝えたいことが表現者にも演出家にもあるんでしょうけど、
感じ取り方はみんな違ってていい…自分の感じたいままに受け取ればいいというものがありました。
久しぶりに小劇場向けの舞台を観た私は「ああ、久しぶりだわ!」と舞台を観ながら感じていました。

…さらに<表現の奥深さ>というものを改めて実感させられました。
<表現>というものは「ただ発するだけでは駄目、きちんと相手に伝わらなければならない」という、
高校時代に教わった言葉は私の今に生きているような気がします。
<表現>というものは「何を伝えたいか」という意図があるからこそだと思うので、
これからもそういうものを大切にしていきたいと再確認するきっかけとなった舞台でした。
本当に高校生の自分を振り返るいい機会になりました。

日本の演劇(狂言や能)には「止まる」という演技もあるんだという話を
ルーマニアのパフォーマンス後に行われた質疑応答のコーナーで劇団の代表さんが言っていましたが、
その言葉も確か高校生のときに聞いたなあ(笑)と思っていました。
日本の演劇では「間」というものが大切にされる傾向があると考えているのですが、
それはこの「止まる」という演技からスタートしているような気がします。…あくまでも私の考えです。

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さて、そんな日本のパフォーマンス後にルーマニアのコメディーが上演されました。
この舞台はフランス語(とほんの少しだけルーマニア語だったらしい)で行われました。
ですから結構コメディアン達の台詞を聞き取ることが出来て面白かったです。

この話は…四部立てだと私は見なしました。

1)掃除婦として働く女性の夢(色々な人物が様々な役になりきる形で登場)
最初に掃除婦が客席を掃除しながら登場するんですね。
そして、私は「コメディエンヌだったわ!」と語りながら色々なことを想像していきます。
(このときに「Les Comediens」というシャンソンが流れる。)
そしたら様々な布で何かオブジェ(人)を隠してある舞台に掃除婦が行きます。
そして彼女がその布を1枚ずつとっていきます。
そのときに出てきた人物が何か彼女に喋りかけたり客席を巻き込んだパフォーマンスをしたり
色々なことを彼らは行います(笑)。
最も爆笑したのがロミオの真似をした男性。掃除婦ではなく客席にいるある女性をジュリエットに見立て、
あれこれ芝居をしている彼。笑わせていただきました。本当に面白かったです。
2)2枚のスカーフをめぐるコメディー
ある夫婦がいました。妻のために夫は2枚のスカーフをスカーフ屋から購入します。
その夫はお金がなかったので後日払うからとそのときに代金を支払いませんでした。
その夫婦はもともとお金がありませんでしたからお金を払い続けませんでした。
そしたらスカーフ屋が夫婦の家の前でずっと代金を支払うよう待っています。
そうするうちに鳴き声大会になります。
通りがかりの男とスカーフ屋があれこれとやっているのです。
それを見た夫が「優勝した方にお金(スカーフの代金)をあげよう」ということになります。
そしてずっと対決しているのですが、結局スカーフ屋が負ける…という救われない物語です。
まあ、これが面白くて。。。
日が経っていることを示すために通りがかりの男(女性と共に)が何度も舞台を往復するのですが、
もう思わず笑ってしまうほど滑稽なことをしてくれました。本当に楽しかったです。
3)「どちらが美人か」対決
2人の女性がどちらが美女か言い合っます。(ちなみに1人が掃除婦です(笑)。)
彼女達の言い争いに決着をつけるためにボクシングの試合を行うことになります。
そこで2人が延々と戦っているのですが、
そのときに「ラウンド1」などのプラカードを見せるために歩く女性が1番美女という設定だったんです。
しかもプラカードの彼女もそのことを承知しているということでした。
はっきりいってその戦いは「五十歩百歩」というべきなのか…
とりあえず戦っている2人の美貌に大差がなくその戦いは意味がないんですよね、結局。
それでもプラカードの女性の方が美人ということに気づいているのにもかかわらず戦い続ける2人が
面白くて爆笑させてもらいました。
4)<アダムとイヴ>のパロディー
誰もがご存知の物語を面白おかしく描いていく…という内容です。
(掃除婦が天使の格好でナレーターをしていたのがポイントです。)
1番笑ったのはイヴの登場シーン。
赤と黒のランジェリー姿でアダムを起こすために変な薬を持って、
あの「カルミナブラーナ」の有名な出だしのメロディーを使っての登場…だったんです。
「カルミナブラーナ」についてある程度(流れ)を理解しているつもりの私は大笑いしてしまいました。
あと、蛇が日本でよく見られる獅子舞のようなものだったことにびっくりしました。
(パンフレットの紹介に載っている下の写真(緑の物体)がそれです…蛇に見えないですよね?)

このように4部ともきちんとコメディーに仕上げているのが非常に面白かったですね。
最初に観た日本のパフォーマンスとは180度違う舞台だったのもまた良かったなあと思います。

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それで、翌日の朝、ちょっと散歩しました。
そのときに昨日撮影できなかった「Le Petit Theatre de la Bouloie」の写真を撮りました。
気持ちいい空気だったので楽しく歩くことが出来てよかったです。
(ちなみにこの写真は私の住む寮の前で撮影しました(笑)。)

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私がお世話になっている「CROUS-RESIDENCE COLETTE」のセンターも設けられている、
「STENDHAL」という寮の前にある道を歩いていきます。

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そうするとすぐに目的地に到着できます。
結構ひっそりと建っているんだなあと4月1日に行ったときは思いました。
でも、それが小劇場らしくていいなあとも感じました。

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こちらが入り口です。

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正面から見るとこんな感じです。

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ドア越しにロビーの様子も撮影してみました。
どうでしょう?結構シンプルなホワイエですよね。
左前にある毛むくじゃらのオブジェは1本1本の紙切れに文字が書かれてありまして、
実は凄い作品なんですよ。客席に入れずロビーで待っていたときにまじまじと見てしまいました。

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舞台は先ほどの写真を見ていただいたら分かるとおり、全て「黒」です。
もともとが黒です…これは小劇場なら当たり前なのかなあと思いました。
そんなに小劇場に行かない人間なのでなんともいえませんけど。

ではでは、今日はこんなところで。

【追記】
「The Heavy User」についてはきちんとしたあらすじがあったようです。
ただ私がそれをきちんと感じ切れなかったのかなあと思います。
まあ、フランスで日本語での上演ということで少し手を加えた可能性があると思います。
…まあ、感想は質疑応答で劇団の代表者の仰ったことを中心にまとめたので、
劇団の芯みたいなものは上記の通りなんじゃないかなあと考えています…でも保障しません(笑)。
もし劇団に所属していらっしゃる方で「これは違う!」と思われましたら謝罪させていただきます(汗)。
ちなみに…そのあらすじはどういうものであったかといいますと以下の通りです。
(劇団の公式サイトから転載させていただきます。)

「猿は火を使い人類へと進化した。果たして我々は、何を使えば‘神’になれるのか―」
同僚女性の怪死事件。弔問客不在の葬儀。そして、見覚えのない自分の顔。 
あなたの心も感覚も、すぐに‘連中’に奪われる…。

演劇集団「柿喰う客」の2回目となるフランス遠征作品は人間存在を真っ向から問うショッキング・スリラー!

ではでは…本当にこれで失礼します。


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コメント 4

Roseblanche

面白い舞台だったんだね~
表現って本当に難しいけど、可能性も無限大だから…。
ブザンソンで日本の演劇に出会えたのも、不思議な縁を感じる。
この小さな劇場は常設?上演は定期的に行われてるの?

by Roseblanche (2010-04-07 09:25) 

marine

うん、2つの正反対の舞台を両方観られたのは本当に良かったなあと思いますわ。
表現というものは本当に奥深いよねとしみじみ感じます。
まあ、まさかブザンソンで日本の演劇を見ることになろうとは!と驚きもあるけれども、
こういう機会もいいよなあと。
その劇場はフランシュコンテ大学の演劇科かな?演劇サークルが
よく定期的に公演を行なっていますのよ。機会があれば~~と思うんだけど、なかなか。
まず足を一歩踏み出すのがね、難しいね。
by marine (2010-04-07 13:15) 

marine

mikosukeさん、kakoさん、nice!をありがとうございました。
by marine (2010-04-08 05:23) 

marine

ムクさん、nice!をありがとうございました。
by marine (2010-04-10 14:02) 

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